RPGツクールXP 特徴

RPGツクールXPはRPGツクール2000(及び2003)と、しばしば比較されます。 RPGツクール2000(以下、2000と略記)はRPGメイキングツールとして幅広く普及しましたので、 これを基準として出来ること・出来ないことを吟味し購入を検討された方も多いかもしれません。 私がしばらくツクールXPを使ってみた上での特徴を挙げてみたいと思います。

映像面

解像度

640×480pixel。これは2000の倍(縦横2倍。面積4倍)の解像度であり、 2000のようにピクセルを二倍に拡大して描画することはない。解像度を320*240にすることは RGSS内からWINAPIを呼び出せば可能かもしれないが、仕様から考えて現実的ではない。

フレームレート

描画フレームレートは基本的に最大20FPS。ただし、滑らかモード(F1で設定できる機能)では 描画・内部処理ともに40FPSで、それ以外の場合は描画最大20FPS内部処理40FPS(1枚飛ばして描画する)。 描画処理が追いつかなかった場合、フレームスキップが行われコマ落ちが発生する(この際内部処理は 40FPSを保とうとする)。2000は最大で60FPSらしい。RGSSでベースフレームレートを40以上にすることに よってFPSを上げることはできるが、640*480のウィンドウモードで40FPS以上の描画を行う時はかなりの マシンスペックが必要になると思う。

描画機能

グラフィック素材の使用可能色数はフルカラーで32bitPNG(アルファチャンネル)に対応している。 色ごとに透明度を指定できるアルファチャンネルを使ったPNGイメージは、システムウィンドウやオブジェクトの 影などに幅広く使用できる。またピクチャーの加算・減算合成などの合成方式も追加されており、 エフェクト等も表現が多彩になる。2000でも同様な演出が可能ではあったが、アルファチャンネルに相当するものを 作るには画像パターンをいくつも用意しなければならなかった。

キャラクター規格

キャラクターサイズは、キャラクターイメージファイルを等分してアニメーションさせるタイプでサイズ制限が無い (ただし当たり判定はデフォルトで1キャラマス分のようなので改造する必要が出てくるかもしれない)。また、 マップチップセットもオートアニメチップが1セットにつき7種、固定(アニメしない)チップは数に制限無く設定できる。 アニメチップのアニメコマ数もデフォルトで限りなく設定できる。RGSSで設定すればレイヤーを無限に重ねることも可能なので、 このあたりの表現については2000のように限られたセット内で試行錯誤をすることは減るだろう。

サウンド面

MIDI音源

MIDI音源は共通(DirectMusicSynthesizerで演奏)。全てのプレイヤーが同じMIDI演奏を聞くことが出来る。 2000と同様ループポイント(コントロールチェンジ111)にも対応。しかし、場合によってはかなり動作に負荷がかかる
RPGツクールXP 動作性能に対する見解

MIDI以外のの音声規格

OGG,WMA,MP3,WAVが使用できる。ただしWMAとMP3はストリーム読み込みを行う。 ストリーム読み込みは容量の大きいファイル(BGM用)などでもスムーズに再生するが、 ループさせようとするとループ時に必ず0.1秒ほどの空白を生じる。 再生開始時にもこの空白は生じる。よってタイミングを要求する効果音には向かない。

対して、OGGとWAVEは上の二つと違い、BGMにした場合切れ目無くループする。ただし、OGGの場合ファイル容量が大きいと 読み込み時にゲームが一時停止する可能性がある(私のPentium3-933MHzで1メガバイトにつき1秒以上停止する)。 演奏時間数秒単位の効果音(容量数キロバイト程度)のOGGなら一瞬で読み込める。よってOGGは効果音に適する。

WAVEファイルは読み込みにOGGほど停止することはない(多少停止する)が、BGMとして使用すると莫大なデータ容量を 必要とするのであまり推奨されない。Microsoft ADPCM形式のWAVEファイルも使用できるが、圧縮率はせいぜいオリジナルの50%前後で、 音質はOGGやWMAに劣ってしまうのであまり使えない。

MIDI以外のBGMを曲の途中からループすることは、デフォルトではほぼ不可能。私はRGSSからWINAPIを呼び出して無理矢理外部 で行っています。(RPGツクールVXではOGGのストリームループ(逐次読み込み)が実装されています)

エディタ操作性

イベントコマンド

ツクールXPで(機能的に)新規に追加されたコマンド
  • トランジッション準備/実行
  • セルフスイッチの操作
  • スクリプト
2000にあってXPに(機能的に)無いコマンド
  • 顔グラフィックの設定
  • 乗り物関連
  • ムービーの再生
  • チップセットの変更
  • チップの置換
  • テレポート・エスケープ関連

加えてマップの設定が大幅に削減され、マップループ設定及び敵出現エリア、ダンジョン自動生成機能などは無い
セルフスイッチは革新的な機能で、宝箱の数だけ必要だったスイッチが、 イベント特有のスイッチであるセルフスイッチを用いることによって非常に扱いやすくなっている。 しかし、ワールドマップを作ることは想定されていないとはいえ、 乗り物やループがないのは痛いところ。RGSSでマップ処理を行いループを作ることは一応可能。 乗り物もRGSSを使えば自作できると思います。

データベース

基本的に設定は増えている。しかしRGSSの柔軟さの割にはデータベースの中でカスタマイズできる項目は少ない。 エディタ側で視覚的に操作できるアクターステータスはMAXHP・MAXSP・腕力・器用さ・素早さ・魔力の6つ。 これより多くのステータスを作る場合は自作せねばならない。
また上記理由により乗り物の設定は無い。2000の用語にあたる部分は大幅に削減されている。アイテムは通常アイテム、 武器、防具の3タイプに完全に分類されており実に使いやすい。

戦闘

デフォルトはコマンド型だがキャラ立ち絵が入ったりして少しデザインが2000等と異なる。 RGSSを使うことによって抜群のカスタマイズ性を持っている。アクションゲーム的な戦闘となると処理能力の面で 問題が発生するかもしれないが、2000のように山のような分岐を作らずとも非常に柔軟に自作戦闘には対応できる。

配布関連

暗号化

グラフィック部分は、ゲームディスク作成時に暗号化することができる。暗号化せずに配布することもできる。 一度暗号化したゲームディスクは暗号化を行った作者のエディタでも読み込めなくなる。ただし暗号化すると容量は若干増える。 オーディオ部分は暗号化されない。(仕様上無理?)

ゲームデータディレクトリ構成

ゲームディスク作成後、最上位階層には数個のフォルダ・ファイルと実行ファイルのみが置かれるのでプレイヤーは 実行ファイルを見つけやすい。(ただしセーブファイルもここに作成される。セーブデータの数だけセーブファイルが作成される) 暗号化を行った場合は、よりコンパクトになる。

容量

新規作成時のプロジェクトをそのまま暗号化アーカイブでゲームディスクとした場合、容量は圧縮なしで約600キロバイト。 ランタイムパッケージ(RTP)は約24メガバイトで配布されている。